
こんにちは。鹿児島の焼酎蔵:祁答院蒸溜所、杜氏の山下です。
2025年早春。今期も、無事に焼酎製造を終え、現在、製造で使用した機材や備品のメンテナンス真っ最中です。毎年、この時期になると、当蔵に足を運んでくださるお客様の蔵見学の案内をさせていただく機会が増えてきます。
製造に携わっている為、ついつい熱が入り、長々と話をしてしまうのですが、そんな中で、お客様より、「おお~、なるほど」と思うような質問をいただきます。
今回は、そんな『焼酎の???』についてご紹介です。
モロミ内のアルコールと、蒸留した焼酎のアルコール度数
焼酎づくりの際に、「蒸留前に、モロミ内にどれだけのアルコールが出来ているか」を確認する試留(しりゅう)という作業があります。このアルコール数値により、蒸留を行う際の蒸気圧の調整や蒸留時間の調整を行うのですが、ここでのアルコール数値は、芋の品種にもよりますが、だいたい14.0~15.0%ほどです。

そして、このモロミを実際に蒸留すると、38.0~39.0%ほどの原酒とよばれる焼酎が出来上がります。
ここで、お客様より質問をいただく『焼酎の???』があります。
「蒸留前は、14.0~15.0%しかないアルコールが、なぜ、蒸留後には38.0~39.0%に増えるのですか?」
まさに、おお~ですね!
確かに、アルコール度数だけ比較するとアルコールが増えたように見えますね。
これは、モロミの量と原酒の量に関係しています。
祁答院蒸溜所の1仕込みのモロミ量は約2,800Lで、蒸留後の原酒量は約1,000Lになります。この数字に、それぞれのアルコール度数をかけると、その中のアルコール数量になります。
- モロミ・・・2,800L(モロミ量)×14.0%(アルコール度数)=392L(アルコール量)
- 原酒・・・・1,000L(原酒数量)×38.0%(アルコール度数)=380L(アルコール量)
モロミ内のアルコールは、全ては蒸留できないため、若干の誤差はありますが、このようにアルコール数量は、ほぼ同じなのです。
つまり、蒸留後にアルコール度数がパワーアップした(急激に増えた)のではなく、
アルコール濃度が増えただけなのです。
このように、お客様より、ドキッとする質問にも対応出来るように、日々勉強して行きたいと思います。
この他の、『焼酎のハテナ?』についても、またご紹介したいと思います。
蔵見学の際だけではなく、『焼酎のギモン』があられる方は、遠慮なくお問い合わせ下さい。
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